INTERVIEW

青木 希実

青木 希実

尊敬できる先輩方から多くのことを吸収し、
患者さんの生活を支える家庭医を目指す

多摩病院では指導医から教わるとともに、自身も学生や後輩に教えるのが当たり前という「教えあう」文化があります。そんな温かな雰囲気の中、日ごろの診療やチーム医療、院内勉強会などについてどう感じているか、青木希実先生に伺いました。

多摩病院の温かな雰囲気に惹かれ、初期研修後に九州から上京

私は大分大学医学部を卒業後、2年間の初期研修は大分の県立病院で過ごしました。大学卒業と同時に結婚したので、パートナーの東京転勤を機に東京近郊で専門研修先を探すことにしました。

色々な病院のウェブサイトを見る中で印象的だったのが、多摩病院の専攻医の先生のコメントでした。その先生は私と同じ九州の出身で、「自分は研修医のとき優秀ではなかったけど、とても温かい雰囲気の中で学ばせてもらっています」というような言葉が載っていたんです。初めて故郷を離れて関東に行くのは不安だったこともあって、そのような環境で学ばせていただきたいと思いました。総合診療をしっかり学べる病院を希望していたこともあって多摩病院に興味を持ち、まずは見学に行きました。

当初は3つの病院に見学を申し込んでいたのですが、コロナ禍で他の病院は何度も延期になってしまい、実際に見学できたのは多摩病院だけでした。そんな縁もあり、現在は専攻医として当院でお世話になっています。

患者さんの生活そのものから関わる家庭医になりたい

子どもの頃、小児喘息で長く治療を受けていたことがあります。医師になろうと思ったのは、当時の担当医の影響が大きいと思います。その医師は発作が起きた時に治療するだけでなく、「発作が起きないようにしないと、普段の生活をまったく楽しめないでしょ」という感じで、日頃の生活をすごく大事に考えてくれたんです。とても親身になって、考え方から変えて生活することを教わりました。今はすっかり治りましたが、小児期に病気を治してもらったことが強い印象として残り、学生時代は小児科を希望していました。

転機になったのは、5年生の実習の時、家庭医の専門医資格を持つ先生と出会ったことでした。その先生の訪問診療に同行するうちに、病院での診療と違って、自宅で過ごしている患者さんの生活をサポートするのは大変だけど、患者さんの日頃の生活に触れることができていいなと思いました。それ以来、総合診療医、家庭医を目指すようになりました。

手厚い指導と、教えあう文化が成長の原動力になっている

多摩病院の特徴でもあると思いますが、専門研修の病院を選ぶ時、指導が熱心なところがいいなと思っていました。多摩病院は病院全体として上の先生が下の先生に教えるという文化があり、教育的な側面が強い病院です。皆さんよく声をかけてくださって、上の先生の指導が本当に手厚い。そこが1番のお勧めしたいポイントです。

治療方針について迷ったり、患者さんのご家族にどう説明すればいいか困ったりした時も、すぐに相談できる先生方がいます。何がどう困っているのかうまく言い表せないところまで解釈しながらサポートしてくださって、勉強不足なところを踏まえた上で細かく指導してもらえるのはとてもありがたいですね。怒られるようなことはなく、常に「指導する」「教える」という温かい空気があります。

上の先生から教わるだけでなく、誰かに教えることで得られる学びもあります。例えば実習で当院に来る学生に講義したり、後輩の研修医に知識や技術を教えたりする機会がありますが、人に教えるためには自分自身が根本的なところから突き詰めて理解していなければなりません。人に教える中で「まだ勉強不足なところがある」と気づくことも多くあり、教えることが実は自分のためにもなるんだと感じています。

チーム医療だからこそ、すぐ誰かに気軽に相談できるという利点がある

チーム医療も多摩病院の強みの1つです。患者さん1人に対して5、6人のチームで治療にあたることが多く、患者さんの中には、「医師が多いな」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。でも、チーム医療だから抜けや漏れが起こりにくく、若手医師が診療に関して迷うことがあってもすぐ上の医師と共有して考えることができます。総合診療内科の医師は20~30名程度と、他院に比べるとかなり多めですが、人数が多いと当直明けのタイミングでも帰りやすく、働き方の面でも利点があると思います。

総合診療医を志すには、病気について幅広い知識を身につける必要があります。加えて、在宅でできる範囲のことをどこまで行い、どのタイミングで在宅診療から病院での治療に切り替えるか、そこを見極める判断力も磨かなければなりません。地域のケアマネージャーも含め、他職種と連携して円滑にコミュニケーションを取ることも大切です。患者さんに対しては、告知などつらいことを言わなければならないこともあり、どうすればうまく伝えられるのか、まだまだ勉強することばかりです。

私は他院で初期研修を受けましたが、その時は基本的に上の指導医の先生の下で学ばせてもらっていました。指導医の先生がいて初めて成り立つという感じで、責任が重いことに携わる機会はほとんどありませんでした。でも3年目の今は、指導の先生は一緒にいるけれども、自分が主体になって患者さんの今後について病状説明する場面を持つ機会が増えてきました。家族があまり聞きたくない、まだ受け入れが十分できないであろうこともこちらからうまく伝えなければならないんだと、今まで以上に責任の重みを感じます。

専攻医はともに学ぶ仲間。院内勉強会などの情報は全員で共有する

1日の大まかな流れを紹介すると、朝7時半頃から、病棟の担当患者のカルテを確認したり、曜日によっては勉強会に参加したりすることもあります。8時から、夜間帯に入院した患者さんのカンファレンスに参加。カンファレンスが終わるとチームの先生方と一緒に病棟回診や、治療計画の立案、カルテ記載などで午前が終わります。午後は患者さんやご家族への病状説明や勉強会、そして夕方は再度チーム全員で病棟を回って終業という感じです。ランチタイムは職員食堂で食べる人が多いですが、院内のコンビニエンスストアでも職員割引が使えるのでコンビニを利用する人も多いです。

院内には専攻医のためのスペースが設けてあります。どの先生も通るような通路に面した場所なのですが、開放されている感じが親しみやすさにもつながっていると感じています。専攻医は15人程度で、とても仲がいいです。他年次の先生方も仲がよく、横のつながり、上下のつながりもしっかりしています。専門医を取得するためには一定数の勉強会への参加などが必要なので、同期の間で「○○の勉強会があるよ」といった情報を共有し、みんなで一緒に頑張っています。

院内の勉強会はたくさんあってありがたいです。水曜や、土曜の出勤日の朝に30分程度の勉強会があったり、水曜・金曜の14時、15時くらいの時間帯に症例を持ち寄って「こういう症例はどう考えていくか」と話し合ったり。夕方にも、例えば抗菌薬などのテーマで専攻医向けの勉強会がいくつもあります。自分で勉強するのが苦手な人も、そこに参加すれば必然的に勉強できるような環境が整っています。

尊敬する先生方を手本に、「診察が楽しみ」と思ってもらえる医師になりたい

指導医の先生は、当然ながら医学的な知識がものすごく豊富で、うまく考えて治療を進める姿を見るのは勉強になります。特に患者さんやご家族に病状説明をする場面がそうです。例えば高齢の患者さんが入院される時、ご家族がこちらの話を受け入れるのが難しい状況だったとしても医療者側の見解を押しつけることなく、「医療の面から考えるとこんな選択肢もありますよ」と納得できるように話を組み立てるところなど、学ぶところが多くあります。

私も先生方に学びながら誠意を持って臨んでいますが、外来などで「先生って、何だかすごく話しやすいですね」と患者さんに言われると本当にうれしくなります。尊敬できる先生方を手本にしながら、患者さんが診察を嫌になることなくむしろ診察を受けるのが楽しみになるような、そんな診療ができる医師になりたいです。

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