INTERVIEW

初期研修医(2年目)笹森 瞳

初期研修医(2年目)笹森 瞳

科の垣根が低く相談しやすい環境で、
自然科学の一分野としての医学を深めたい

初期研修2年目の笹森瞳先生によると、多摩病院の魅力は総合診療内科が中心となって各科と連携しているところと、多様性が尊重されているところだといいます。初期研修に入ってすぐ「多摩病院で良かった!」と実感するほど充実した日々の中でどんな学びを得ているのか、詳しく語っていただきました。

患者として自然科学の一分野としての医学を実体験し、医師を目指した

私はもともと幼い頃から自然科学に関心があったのですが、なかでも医学に関心を持ったきっかけは眼科の医師との出会いでした。高校時代、部活動の練習中に網膜を損傷するケガをした時、担当してくださった先生です。その先生はどんな術式で手術をすればどんな効果が得られるのか、治療に伴うリスクはどんなものがあるのかといったすべての病状を、未成年の私に分かるように説明してくださいました。患者の立場で自然科学の一分野としての医学を実体験してみて、「医学って面白いな」と思ったのです。

突発的なケガや病気が起こるのはとても低い確率かもしれません。でも、自分にとっては100%の出来事です。私はそのケガを体験して以来、やりたいことを存分にがんばれることのかけがえのなさを実感するようになりました。再び目が見えるようになって大学病院の外来を卒業する時の幸せな診察室の光景を、今度は逆の立場で見てみたいと思って医師を目指しました。

意気揚々と医学部に通い出したものの、もともとの自然科学への関心が炸裂

医師免許を取得後、そのまま博士課程に進学して中枢神経に関わる薬理学をテーマに基礎研究に携わりました。博士課程を短縮終了した後は助教になり、研究者として合わせて4年間の経験を積みました。キャリア展開を考える中で、研究者として研鑽を積む他にも、製薬会社の研究職や厚生労働省の医系技官のインターンシップにも参加しました。様々な選択肢がある中でも、やはり臨床経験を積みたいと考え、初期研修に入る道を選択。基礎研究は携わっていた特定の範囲に関しては自分なりにやりきれたという晴れ晴れとした気持ちで転職し、現在に至っています。

総合診療を強みとする多摩病院に大きな魅力を感じた

初期研修の病院を選ぶ際に私が基準としたことのうちの1つは、後期研修まで進みたいと思える環境であることです。

初期研修先を考え始めた頃から総合診療に興味があったので、総合診療内科に力を入れている点も多摩病院を選んだポイントの1つです。臓器別の専門医も興味深いのですが、すべての臓器を対象とする総合診療なら、私の学びたいことが1番詰まっているのではないかと思ったのです。それに加えて、大学教員の頃に経験した、コロナ禍のワクチン接種のお手伝いの影響もあるかもしれません。その時は短時間でたくさんの方々とお会いして、既往歴や薬歴などをお聞きしました。医学部では病気はひとつずつ習いますが、実際にはひとりが複数の疾患と共に生活しているということを実感し、総合診療への興味がますます湧きました。

多様な個性を尊重しあう雰囲気が心地良い

もう1つ、「多様性」が尊重されていることも多摩病院の特長だと感じます。研修医の出身地は、北は北海道から南は九州まで、皆さん全国から集まっています。経歴もさまざまで、私のように入職前に別のところで働いていた人もいれば、大学卒業後に会社員として社会経験を積んでから医学部に入った人もいます。

当院は聖マリアンナ医科大学の系列病院ですが、他大学の出身だという疎外感はほとんどありません。初期研修2年目の同期が10名いるうち、出身大学は9大学に分かれます。10名というのは多すぎず少なすぎず、男女比も半々くらいです。同期それぞれ様々なことに興味関心があり、みんな高い志を持っています。1年目はコロナ禍で飲み会もできませんでしたが、あれこれ助け合ったり、教科書を貸し借りしたり、休日には共にスポーツを楽しむこともあります。

初期研修2年目で、島しょ部での地域医療研修を実現

地域医療研修でいくつかの島しょ部を選べる点も当院ならではです。同様のプログラムがある病院は他にもあるのですが、決して多くはありません。私は初期研修2年目で、念願叶って島での1カ月の研修が実現しました。

どこに住んでいてもそれぞれ税金を納めている市民でありながら、医療へのアクセスは地域によってかなり違います。私は今後臨床経験を積んでいく中で、どうすれば医療というインフラにみんなが十分にアクセスできるようになるのか、医師として悩む日が来る気配を感じています。たった1カ月では見学程度で終わるかもしれませんが、島での医療を経験することは、非常に有意義なことだと考えています。

様々な面で働きやすい環境を職員みんなの普段の努力で

初期研修医を含めて医師は130人程度で、初期研修2年目となればほぼすべての医師を知っているような感じです。指導熱心な先生が多く、とても手厚く指導していただいています。普段の診療では、すぐ相談できる上級医の目がしっかり入った環境下で、主体性を持って取り組ませていただいています。

医師のみならず、コメディカルからも大切にされていると感じます。看護師や技師、薬剤師の方々もとても優しくて、研修医に色々教えようとしてくださる雰囲気があります。部署間でルールを作ったり業務フローを見直したりするなど、改善する行動も身軽です。例えば、何か問題が起きたら次回に備えて改善するべく、他職種の人たちは自分たちにできることを前向きに検討しています。自分の仕事を増やしたくない人が多いはずの世の中なのに、今までの業務の範囲を少しはみ出してでも改善しようとする気概を感じる状況をよく見かけるのです。そういった姿を見たら自分も自然と積極的に動くようになります。職員みんなのこのような不断の努力の積み重ねでお互い気持ち良く働けるのではないかと思います。

また、働き方改革への対応も柔軟でした。ちょうどここ数年で、当直明けには帰るというスタイルが定着していきました。コロナ禍もあり、夜間の救急車の台数が多い時もありましたが、「翌朝には帰れるんだ」と思えば安心して全力投球できました。また、限られたリソースでより質の高い医療が提供できるように、幹部の先生同士で話し合い、若い医師が他科の先生に相談しやすい環境を整えてくれています。科の垣根が低くて相談しやすい点も働きやすさの秘訣だと思います。

初期研修が始まってすぐに「多摩病院で良かった!」と実感

現在は初期研修2年目ですが、1年前、研修に入って数カ月の早い段階から、「初期研修をやって良かった!」と思うことがたくさんありました。私は博士課程の頃からコメディカルの専門学校で非常勤講師を務め、博士号取得後は大学教員として医学部教育を担う立場となり、研究活動の他に教育活動にも従事していました。当時も、自分が受けた医学教育と研究活動で培った知見を活かして講義や実習を担っていましたが、初期研修に来てみると新たな発見がありますした。多様な臨床的視点が増えて、医学知識が統合され、今なら講義をよりブラッシュアップできると思っています。そこは自分がすごく成長を実感した点で、本当に研修に来て良かった、多摩病院で良かったと感じています。

当院では学術活動もリスペクトされていて、すでに複数の学会で、1つの症例を深めて発表する機会もいただきました。学術活動が日々の業務のモチベーションアップに寄与すると実感しているので、時々そういう活動をする余裕があるのはありがたいです。とはいえ、それが全員に強制されているわけではなく、大学病院と市中病院の間くらいの位置づけという自由なところも気に入っています。

多摩病院で学ぶことを軸に、今後のキャリアプランを模索していきたい

総合診療内科で社会的側面や全身的なことを見るのも興味深いのですが、自然科学の一分野としての医学をもっと極めたいという気持ちもあります。体のどこの構造や機能が破綻すると、こんな異常が出て病気になる。症状を緩和したり将来的な予防をしたりするために、こんな治療介入をする。そういった臨床的な経験から人体をより深く統合的に理解することに喜びを感じています。

現時点で3年目以降の進路として最も興味があるのは、救急・集中治療です。とはいえ、ずっと救急医であり続けるかどうかは分かりません。学べば学ぶほど興味関心は広く深く湧くだろうし、医師が活躍できる場は病院の外にもたくさんあります。やりたいことを存分に頑張れる幸せをかみしめて、やり切ったと思えるまで臨床医として研鑽を積み、その後のキャリアをどう展開させていくか考えていくつもりです。

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