部門紹介
当腎センターでは、急性および慢性腎不全に対する透析療法(血液透析、腹膜透析)のみならず、種々の疾患に対する特殊血液浄化療法も施行しています。
その中でも、末期腎不全に進行してしまった患者さんには、医師(腎臓・高血圧内科)と看護師(腎センター)から腎代替療法(血液透析・腹膜透析・腎移植)について、患者さんとご家族にわかりやすくご説明した上で、どの方法を選択するかをご相談し、Shared Decision Making (SDM)、すなわち患者さんと医療スタッフが一緒に方針を決める「協働意思決定」を通じて、方向性を導き出しています。
透析開始後、当腎センターに引き続き外来通院される患者さんに対しては、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、および社会福祉士(ソーシャルワーカー)が共に密接に関わりながら、患者さんの社会復帰への支援を行っていきます。
血液透析療法の場合、前もって1週間程度の入院で血管アクセスを造る手術を行い、その後適切な時期に再度入院していただき、血液透析を開始しています。
退院後は原則として近隣の外来透析施設をご紹介し、週3回の外来維持血液透析を継続していただいています。
腹膜透析療法の場合、あらかじめ腹腔内にカテーテルを留置する手術を行い、一般的にはその3-6ヶ月後から、腹膜透析を開始することが多いです。
腹膜透析療法に熟練した当腎センターのスタッフが、数多くの患者さんに腹膜透析療法に関する手技を含め指導していますが、患者さんおよびご家族自身でのご自宅における自己管理が大変重要であるという事実には変わりありません。
また根治的な治療法のない重篤な合併症である「被嚢性腹膜硬化症」の発症を未然に防ぐために、腹膜透析を開始してから数年程度で、腹膜透析療法から血液透析療法に移行する必要があります。
また腎移植には、亡くなった方から腎臓の提供を受ける「献腎移植」と、親族の方から片方の腎臓をいただく「生体腎移植」があります。
いずれも当院では行っておりませんが、腎移植医療において県下でも有数の実績を納めております聖マリアンナ医科大学病院の腎臓病センターとスムーズに連携が取れる体制を構築しています。
一方で、「透析の見合わせ」に関しても、患者さんご自身の価値観を元に、ご家族と多医療職種等を交え慎重な検討が必要となる重要な選択肢と考えており、腎代替療法の説明の際に、併せてご説明しています。
また腎不全患者の高齢化が顕著になっている現状を踏まえ、高齢腎不全患者さんの将来の意思決定能力の低下に備えて、Advance Care Planning (ACP)、すなわち今後の治療・療養について患者さんおよびご家族とあらかじめ話し合うプロセス、透析開始/見合わせの意思決定プロセス、および緩和医療などに関して、日々検討し、患者さん一人一人に適した方法を模索しております。
特に、この新型コロナウイルスパンデミック禍では、喫緊の課題であると考えています。
スタッフ紹介
腎センター長 冨永 直人
腎センター師長 菊地 初美
腎センター副師長 石渡 希恵