ご挨拶
当科は、当院が平成18年に開院しました当時から開設されており、今年で丸18年の歳月が流れたことになります。その中で疾病構造は変化し、中でも、超高齢社会を迎えた本邦において増加しております慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease, CKD)は、既に国民病とも言っても過言ではない程の状況(成人の8人に1人)となってきており、国をあげて取り組まなければならない重要な課題となっています。
疾病構造と同様、当科の医師も代わり、当時から残っている医師はおりません。ただ、「地域に根ざし、地域の医療に貢献する」という思いは、当時から変わらず、現在診療しております医師の皆にも共有され続けています。新型コロナウイルスパンデミック禍においては、困難でありました顔の見える関係を、今後徐々に再開・発展させ、今まで以上に、地域の方々との繋がりを感じつつ日々診療を続けて行きたい、とあらためて考えております次第です。
診療科のご紹介
当科では、尿検査異常から末期腎不全に至るまで、幅広い疾患および病態に対応しております。当科では、急性および慢性腎不全に対する透析療法(血液透析、腹膜透析)のみならず、種々の疾患に対する特殊血液浄化療法も施行していますが、先程述べました本邦の状況も背景とし、末期腎不全に進行してしまった患者さんには、医師と看護師(腎センター)から腎代替療法(血液透析・腹膜透析・腎移植)について、患者さんとご家族にわかりやすくご説明した上で、どの方法を選択するかをご相談し、Shared Decision Making (SDM)、すなわち患者さんと医療スタッフが一緒に方針を決める「協働意思決定」を通じて、方向性を導き出しています。
透析開始後、当腎センターに引き続き外来通院される患者さんに対しては、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、および社会福祉士(ソーシャルワーカー)が共に密接に関わりながら、患者さんの社会復帰への支援を行っています。また、腎移植は当院では行っておりませんが、腎移植医療において県下でも有数の実績を納めております聖マリアンナ医科大学病院の腎臓病センターとスムーズに連携が取れる体制を構築しています。
一方で、「透析の見合わせ」に関しても、患者さんご自身の価値観を元に、ご家族と多医療職種等を交え慎重な検討が必要となる重要な選択肢と考えており、腎代替療法の説明の際に、併せてご説明しています。また腎不全患者の高齢化が顕著になっている現状を踏まえ、高齢腎不全患者さんの将来の意思決定能力の低下に備えて、Advance Care Planning (ACP)、すなわち今後の治療・療養について患者さんおよびご家族とあらかじめ話し合うプロセス、透析開始/見合わせの意思決定プロセス、および緩和医療などに関して、日々検討し、患者さん一人一人に適した方法を模索しております。特に、この新型コロナウイルスパンデミック禍では、喫緊の課題であると考えています。
主な対象疾患・診療内容
対象疾患
- 尿検査異常(蛋白尿、血尿、病的円柱など)
- 糸球体腎炎
- ネフローゼ症候群
- 血管炎
- 間質性腎炎
- その他
- 水電解質異常
- 低Na血症、高Na血症
- 低K血症、高K血症
- 低Ca血症、高Ca血症
- 低P血症、高P血症
- 低Mg血症、高Mg血症
- 体液量異常
- 浮腫
- 胸水
- 血圧異常
- 本態性高血圧症
- 二次性高血圧症
- 腎機能低下
- 急性腎障害(短期間で急速に腎機能が低下)
- 慢性腎臓病(長期間で徐々に腎機能が低下)
- 末期腎不全(透析医療、およびその関連病態を含む)
- 尿路結石症
- Ca結石
- 尿酸結石
診療内容
本邦の成人8人に1人が慢性腎臓病(CKD)であると報告されている中で、国内の学会より3つのガイドラインおよび1つのガイドが公開されています。令和5年6月に日本腎臓学会より発表された「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」、平成31年4月に日本高血圧学会より発表された「高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)」、令和2年4月に日本腎臓学会、日本透析医学会、日本腹膜透析医学会、日本臨床腎移植学会および日本小児腎臓病学会より合同で発表された「腎代替療法選択ガイド2020」、および令和4年3月に日本痛風・尿酸核酸学会より発表された「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版【2022年追補版】」です。いずれも良質なガイドライン・ガイドとして、高い評価を受けております。当科では、これらの診療ガイドライン・ガイドなどを基本として、一人一人の患者さんに合わせた診療を実践しております。
外来担当医表
午前 | 午後(予約のみ) | |
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月 | 丑丸 秀 シャント外来(第2・4週) |
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火 | 荒川 万里 | 尿路結石外来(第3週) |
水 | 奥山 恵美子 | |
木 | 冨永 直人(部長/教授)(第2・3・4・5週) 担当医(第1・3週) |
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金 | 角 浩史(第1・2・4・5週) 担当医(第3週) |
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土 |
休診・代診情報
休診・代診情報はありません。
診療実績
2023年度実績
年間新入院患者数 370例
血液透析 | 腹膜透析 | |
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透析導入患者数 | 40例 | 3例 |
維持透析患者数 | 70例 | 8例 |
慢性腎臓病 (CKD)に該当する、あるいは疑われる患者さんがおられましたら、是非、当科の外来にご紹介いただければと存じます。心血管系をはじめとする合併症の精査も含め、病状・病態を評価し、必要に応じてCKD教育入院(当院腎センターにて作成した「CKD教育入院テキスト(中外医学社、2020年)」を使用)等もご提案致します。その後、診療方針のご報告とともに、患者さんを逆紹介致します。また、腎代替療法のオプションを丁寧にご説明致し、患者さんご本人およびご家族と、医療従事者との間で、十分な意思の疎通を図った上で、診療の方向性を共有できるように努力してまいります。